工業高校電気科で使われる『電磁気』の公式集

工業高校の電気科で使われる『電磁気』に関連する公式まとめ
工業高校の電気科で学ぶ工学は大学レベルのものです。なぜこの公式が導出されるのかを考える前に、公式を覚えて紐解いていきましょう。
目次

磁力と磁界に関する公式

磁気に関するクーロンの法則

二つの磁極間に働く磁力の大きさが\(\ F[N]\ \)で両磁極の強さ\(\ m_1,m_2[Wb]\ \)、磁極間の距離\(\ r[m]\ \)とする。
この際に次のような式が成り立つ。

$$
F={\frac{1}{4\pi\mu}}\times{\frac{m_1m_2}{r^2}}={6.33}\times{10^4}\times{\frac{m_1m_2}{r^2}} [N]\\
m_1,m_2:磁極の強さ\ [Wb] r:両磁極間の距離\ [m] \mu_0={4\pi}\times{10^{-7}}:真空中の透磁率\ [H/m] \mu_r:比透磁率 \mu:透磁率\ [H/m] $$

磁気による磁界の強さ

\(\ m[Wb]\ \)の大きさを持つ磁極から\(\ r[m]\ \)離れた位置における磁界の強さ\(\ H[A/m]\ \)は次のように表される。

$$
H={\frac{1}{4\pi\mu}}\times{\frac{m}{r^2}}={6.33}\times{10^4}\times{\frac{m}{r^2}} [A/m] $$

磁界中の磁極に働く力

磁界の強さ\(\ H[A/m]\ \)の磁界中に\(\ m[Wb]\ \)の磁極を置くとこれに作用する力\(\ F[N]\ \)は次のように表される。

$$
F=mH [N] $$

2つの磁極による磁界の強さ

2つ以上の磁極によって作られるある磁極\(\ H\ \)はそれらの磁極による磁界\(\ H_1,H_2\ \)をベクトル的に合成したものである。

$$
\vec{H}=\vec{H_1}+\vec{H_2}
$$

電流が作る磁界に関する公式

アンペアの右ねじの法則

電流が流れているとその周囲に電流を中心とする同心円状に磁界が発生する。また、その時の磁界の向きは、電流の方向を右ねじが進む方向と見立てて、ネジが回る向きと同じ方向である。

ビオ・サバールの法則

導線に\(\ I[A]\ \)の電流を流したとき、この導線の微小部分\(\ \Delta l[m]\ \)によって、その部分から\(\ r[m]\ \)離れたP点に生じる磁界の強さは\(\ \Delta H[A/m]\ \)は次のように表される。ここで\(\ \theta\ \)は微小部分\(\ \Delta l[m]\ \)における導線の接線と微小部分\(\\ Delta l[m]\ \)から点Pまでの直線がなす角度である。

アンペアの周回路の法則

電流の流れている導体を取り込み、磁界の強さの等しい閉じた経路を1周すれば、電流によってできた磁界の強さ\(\ H[A/m]\ \)とその電流\(\ I[A]\ \)との間には次式の状態が成立する。

$$
Hl=I [A] $$

無限長直線導体から\(\ r[m]\ \)離れた点の磁界の強さ\(\ H[A/m]\ \)

$$
H=\frac{I}{2\pi r} [A/m] $$

\(\ N\ \)回巻きの円形コイルの中心の磁界の強さ\(\ H[A/m]\ \)

$$
H=\frac{NI}{2r} [A/m] $$

無限長コイルの内部の磁界の強さ\(\ H[A/m]\ \)

$$
H=N_0I [A/m]   N_o:1[m]あたりの巻き数
$$

環状コイルの内部の磁界の強さ\(\ H[A/m]\ \)

$$
H=\frac{NI}{2\pi r}=\frac{NI}{l} [A/m]\\
N:コイルの巻数 r:経路の平均半径\ [m] l:平均磁路の長さ\ [m] $$

磁気回路に関する公式

磁束

磁極からは周りの物質に関係なく、仮想的な線が出ているものとした概念でこれを磁束という。量記号と単位は\(\ \Phi [Wb]\ \)である。

磁束密度

磁界と直角な平面\(\ A[m^2]\ \)を通る磁束が\(\ \Phi[Wb]\ \)であるとき磁束密度\(\ B[T]\ \)は次式で表される。

$$
B=\frac{\Phi}{A} [T] $$

磁界の強さと磁束密度の関係

磁界の強さを\(\ H[A/m]\ \)とし、磁束密度を\(\ B[T]\ \)とする。

$$
B=\mu H=\mu_0\mu_rH [T]\\
\mu_0:真空中の透磁率 \mu_r:比透磁率
$$

起磁力\(\ F_m\ \) (電気回路「起電力:\(\ E\ \)」に対応)

$$
F_m=NI=R_m\Phi [A] $$

磁気抵抗\(\ R_m\ \) (電気回路「抵抗:\(\ R\ \)」に対応)

$$
R_m=\frac{l}{\mu A} [H^{-1}] $$

磁束\(\ \Phi\ \) (電気回路「電流:\(\ I\ \)」に対応)

$$
\Phi=\frac{F_m}{R_m}=\frac{NI}{R_m}=\frac{\mu ANI}{l} [Wb] $$

磁束密度\(\ B\ \) 1\(\ [m^2]\ \)あたりの磁束

$$
B=\mu H=\frac{\Phi}{A}={\mu AI}{l} [T] $$

磁気回路の直並列計算

直列合成磁気抵抗

$$
R_{m0}=R_{m1}+R_{m2}+R_{m3}+\cdots+R_{mn}
$$

並列合成磁気抵抗

$$
R_{m0}=\frac{1}{\frac{1}{R_{m1}}+\frac{1}{R_{m2}}+\frac{1}{R_{m3}}+\cdots+\frac{1}{R_{mn}}}
$$

電磁力に関する公式

フレミングの左手の法則

左手の親指、人差し指、中指をお互いに垂直になるようにして開いたとき、「中指」→「人差し指」→「親指」の順に「電(流)」「磁(界)」「力」が対応しているという法則。
つまり、電流と磁界、力のうちの2つの方向が定まれば残りの方向がわかる法則である。

電磁力の大きさ

磁界の磁束密度を\(\ B[T]\ \)とし、導体に流れる電流を\(\ I[A]\ \)、導体の長さを\(\ l[m]\ \)、導体と磁界の方向とのなす角度を\(\ \theta[deg]\ \)とすれば電磁力\(\ F[N]\ \)の大きさは次のようになる。

$$
F=BlIsin\theta [N] $$

平行電線間に働く力の大きさと向き

向き

電流の向きが同じ時は吸引力 電流の向きが逆向きは反発力

大きさ(電線\(\ 1[m]\ \)あたりに働く力)

$$
F={\frac{2I_1I_2}{r}}\times{10^{-7}} [N/m]([N])
$$

長方形のコイルに働く力とトルク

力の大きさ\(\ F[N]\ \)

$$
F=BlIN [N] $$

トルク\(\ T[N\bullet m]\ \)

$$
T=BlIaNcos\theta [N\bullet m]\\
B:磁束密度\ [T] I:電流\ [A] l:コイルの辺の長さ\ [m] a:コイルの回転半径\ [m] N:コイルの巻数\ [回] \theta:コイルの面と磁界の角度\ [deg] $$

電磁誘導に関する公式

レンツの法則

誘導起電力はコイルに生じる磁束の変化を妨げるような向きに発生する。

フレミングの右手の法則

左手の親指、人差し指、中指をお互いに垂直になるようにして開いたとき、「中指」→「人差し指」→「親指」の順に「電(流)」「磁(界)」「力(導線の動かす方向)」が対応しているという法則。
つまり、電流と磁界、力のうちの2つの方向がわかれば残りの方向がわかる法則である。

誘導起電力の大きさと方向

電磁誘導によって生じる起電力は、元の磁束の変化を妨げるような向きに生じる。

磁束の変化による起電力

コイルを貫く磁束が、\(\ \Delta t\ \)秒間に\(\ \Delta\Phi[Wb]\ \)変化した時の誘導起電力\(\ e [V]\ \)は次の式となる。

$$
e=-N\frac{\Delta\Phi}{\Delta t} [V]\\
N:コイルの巻数\ [回] \Delta\Phi:磁束\ [Wb] \Delta t:時間\ [s] $$

導体の運動による起電力

$$
e=Blvsin\theta [V]\\
B:磁束密度\ [T] l:導体の長さ\ [m] v:導体の速度\ [m/s] \theta:磁界の向きと導体の運動する向きとのなす角度
$$

自己誘導起電力の大きさ

コイルに流れる電流I\(\ [A]\ \)が変化すると、このコイル自身と鎖交する磁束が増減する。このときのコイルの磁束の増減を妨げる大きさの誘導起電力が生じる。

$$
e=-L\frac{\Delta I}{\Delta t} [V]\\
L:自己インダクタンス\ [H] \Delta I:電流\ [A] \Delta t:時間\ [s] $$

相互誘導起電力の大きさ

一次コイルに流れる電流を変化させると二次コイルを貫く磁束が増減し、コイルSに誘導起電力が生じる現象。

$$
e_2=-M\frac{\Delta I_1}{\Delta t} [V]\\
M:相互インダクタンス\ [H] \Delta I_1:一次コイルの電流\ [A] \Delta t:時間\ [s] e_2:二次コイルの起電力\ [V] $$

インダクタンスに関する公式

自己インダクタンス

自己インダクタンス\(\ L[H]\ \)は、コイルの「形状」「大・小」「巻数」「媒質の透磁率」などによって決定される。

$$
L=N\frac{\Phi}{I} [H]\\
N:コイルの巻数 \Phi:磁束\ [Wb] I:電流\ [A] $$

環状コイルのインダクタンス

$$
L=\frac{N\Phi}{I}=\frac{\mu AN^2}{l} [H]\\
\mu:透磁率\ [H/m] \Phi:磁束\ [Wb] l:導体の長さ\ [m] N:コイルの巻数 A:環状鉄心(媒質)の断面積\ [m^2] $$

円筒形コイルのインダクタンス

$$
L=\frac{N\Phi}{I}=\frac{\mu AN^2}{l} [H] \mu:透磁率\ [H/m] \Phi:磁束\ [Wb] l:導体の長さ\ [m] N:コイルの巻数 A:環状鉄心(媒質)の断面積\ [m^2] $$

相互インダクタンス

$$
M=\frac{N_2\Phi}{I_1}=\frac{N_1\Phi}{I_2}=\frac{\mu A N_1N_2}{l} [H]\\
L_1=\frac{N_1\Phi_1}{I_1} [H]  L_2=\frac{N_2\Phi_2}{I_2} [H]\\
\mu:透磁率\ [H/m] \Phi:磁束\ [Wb] l:導体の長さ\ [m] N_1:一次コイルの巻数 N_2:二次コイルの巻数 A:環状鉄心(媒質)の断面積\ [m^2] $$

自己インダクタンスと相互インダクタンスの関係

$$
M=k\sqrt{L_1L_2} [H]   k:結合係数
$$

合成インダクタンス

和動接続

$$
L=L_1+L_2+2M [H] $$

差動接続

$$
L=L_1+L_2-2M [H] $$

電磁エネルギーに関する公式

自己インダクタンスに蓄えられるエネルギー

$$
W=\frac{1}{2}LI^2 [J] $$

磁界内に蓄えられるエネルギー

$$
W=\frac{1}{2}BHlA [J] $$

磁界内の\(\ 1[m]\ \)あたりに蓄えられるエネルギー

$$
W=\frac{1}{2}BH [J/m^3] $$